いづみ屋

福島県福島市に住んでいる普通の会社員の日記です。 趣味の音楽などの創作活動や仕事の事などを書いています。

大沢在昌

罪深き海辺

KLADLEのレコーディング用ガイドを作りながらブログ更新中です。

大沢在昌さんの小説「罪深き海辺」を読みました。

この小説は東京から遠く離れた架空の田舎町でのお話。田舎というと、自然が美しいとか、人が暖かいとか、いいイメージもあれば、村社会。よそ者に冷たい。とかマイナスなイメージもあります。

かなり前に北海道の夕張市が財政破綻したニュースがありました。全国の地方都市が、人ごとではないと大騒ぎしたのですが、その熱というのも喉もの過ぎれば・・地方が抱えている。もっというとこの国の行政のありかたそのものといった大きなテーマも含んでいます。

僕は福島県に住んでいます。福島県といえば田舎の代名詞というくらいの田舎です。中の人間としての田舎の風景と、一度東京に出て行った人間としての外側の人間としての目線。両方をもっている人間です。

僕が田舎に戻ってきた理由は、表向きには先祖から受け継いだ家や土地、墓などを長男として相続し、守っていくため、裏の理由は田舎が大嫌いで将来性もないと都会に出て行ったものの、結局どうにもならず人生に行き詰まってしまったからです。

東京にはホームレスの人が沢山います。彼らは田舎から仕事を求めて都会にやってきた人達が結構います。都会に行けば仕事がある・・だけど結局、田舎であろうと都会であろうと力も知恵もない人間はどうにもならないのです。僕は運良く、撤退できる場所があっただけで、彼らにはそういうものがありません。

学歴も資格も金もない。そんな普通の田舎の人間が、どうやって生きていくか。ヤクザになるか、原発を誘致するか?さてどうしましょう。




新宿鮫

宮部みゆきさん、京極夏彦さんなども所属する小説家の事務所。大沢オフィスの代表であり、作家さんである大沢在昌先生の出世作ということで、読んでみました。

刑事が犯人を捕まえるというハードボイルド小説の基本的な構成ですが、主人公の鮫島、恋人のロックシンガー晶、上司の桜木、犯人の木津、様々な登場人物が物語に色を添えます。

孤高のヒーロー、だけど最強無敵というわけでもない、元キャリアエリートの一匹狼鮫島警部、ロックバンドでボーカルを勤める一回り年下の勝気な恋人、晶、ゲイの美青年で犯人の木津、とにかくキャラクターが面白く個性的で、エンターテイメント小説として純粋に楽しめる小説です。

僕の予想では大沢先生はロックバンドが好きそうな感じがします。普通の人はギターとベースの区別がつかない人もいたりするわけですが、ベースのスラップ奏法というのが小説の中で出てきます。

警察組織や暴力団、ゲイの世界などちょっとアダルトで難しい世界観の説明がありますが、それもより物語の世界観をリアルにみせ、登場人物をスタイリッシュに見せるための舞台設定としての意味があります。僕の人生で役に立つことはきっとないのでしょうが、豆知識になりますね。

娯楽性の強い面白い小説です。
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