京極夏彦さんの小説 「姑獲鳥の夏」を読みました。

とにかく分厚い本で、活字アレルギーのある人には手にするだけでも冷や汗が出そうな本です。京極夏彦さんの小説はどれもそうで、このデビュー作はその中ではまだ薄い方ですけど・・

でも、これはかなりはまりました。すでに次作の魍魎の匣を本屋さんへいって買ってきているという始末。

一件おどろおどろしい表紙とタイトル、ミステリー小説なのか?それともオカルトなのか?読んでみたらわかりますが、この作品で主人公は幽霊や妖怪、心霊現象、超常現象といったものを否定もしないが肯定もせず、それを科学であるとも否定せず、肯定もしません。

「世の中には、不思議な事なんて何もない」

というわけですけど、その解明としての作者が作品を通して主張する世界観というのが面白く、その説明をきちんと理論だてて説明するために前半はいろいろ難しい問答からはじまります。

最初はこの本、やはり分厚くて難しい本であったかと思い、しかもAnoterのように必要ではあっても物語の進行がだらだらする展開はあまり好きでない自分には、失敗したかもと思わせるに十分だったのですが、それが物語が進行するにしたがってじわじわ効いてきて、気が付けばどっぷり「京極堂の世界」に取り込まれている。そんな感じです。

そして、ミステリーでありながら、ホラーです。怖いです。でもそれが解明不可能な超常現象だから怖いとか、呪いとかそういう得体のしれないものに対する壊さではなく、きちんと解明できるのに、その恐怖というのは変わらないのです。

これは京極夏彦さんの小説は全部読破せねば・・と思わせられました。
物語そのものの面白さと同時に、それを理解するための重要な概念の理解も知的好奇心や想像力を刺激します。